プロジェクトストーリー

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お客様の信頼を得て、
「真のパートナー」への道を歩む。
「商社とメーカーの顔を併せ持つ」神谷商会の仕事とは、具体的にどのようなものでしょうか。
実際の案件を例に、「新規のお客様とお取引を開始し、信頼関係を築いていくまで」のプロセスをご紹介します。
大塲 澄人 Ooba Sumito
本社営業グループ産業品チーム
チームリーダー
※所属は取材時(2018年11月)のものです

新規営業の第一歩は、お客様のニーズをつかむことから

現在、本社営業グループ産業品チームでチームリーダーを務める大塲は、2014年9月に神谷商会に中途で入社。卸会社やメーカーで営業をしていた経験が、「商社×メーカー」の神谷商会の仕事になじむ上で役に立ちました。大塲は、既存のお客様の担当を引き継ぎつつ、新規のお客様の獲得に意欲を燃やしていました。今回ご案内する大手電気機器メーカー・A社様の案件も、紹介などに頼らず、大塲自身がゼロから信頼関係を構築していったものです。

電話でアポをとりつけ、大塲が初めてA社様を訪問したのは2015年5月頃でした。
「神谷商会の営業担当は、〈当社はこういう事業を行っています〉とプレゼンする資料や、実際に製作している部品のサンプルを持参することが多いですね。事前にお客様のHPを確認するなどして、見当づけしておきます」
初回の訪問では、神谷商会の特長のPRに努めつつ、お客様のニーズをつかむことに心を砕きます。
「全工程をカバーできる〈All in One〉をうたいながら、お客様の事業領域やその場でうかがうお話を判断材料に、より具体的な強みも説明していきます。A社様の場合、神谷商会がアルミ押出形材を得意とする点に興味を示してくださいました。ちょうど、長尺のアルミ部品を必要とされていたのです」

お取引開始のチャンスを、決断と周到な準備で生かす

首尾よくお見積りを作成する運びとなったものの、大塲には懸念材料が一つありました。
「A社様のご要望の納期が、非常にタイトなものだったのです」
大塲はいったん会社に持ち帰って、調達や製造などの担当者も交え相談しました。営業の大塲は、優良なお客様とのお取引をぜひ始めたいところ。一方で製造部門は、大事なお客様だからこそ、厳しいスケジュールには慎重な姿勢を示します。

社内の声に耳を傾けつつ、この機を逃せないと感じた大塲は、A社様のご注文を受けることを決心。ただし万が一に備えて、2つのラインを同時に動かすことにしたのです。コストを考えると普通はとらない体制ですが、失敗が許されない最初のお取引ということで、戦略的なリスクヘッジでした。
「もちろん上司に相談したのですが、私の判断に任せてくれました。このあたりの柔軟性、チャレンジを奨励するところは、神谷商会の社風かもしれませんね」
苦労の甲斐あって、最初の納品はつつがなく完了。A社様からの部品の注文が、順調に続くようになりました。

トラブル時に大切なのは、誠心誠意で解決にあたること

しかし、お取引開始から半年ほどたった頃、トラブルが発生します。
「アルミの表面処理の手違いで、A社様の製品の、あるパーツの色が全部抜けてしまったのです」
ただちに大塲はA社様にお詫びに向かいました。神谷商会の社内でも、最短で再納品できるよう機械のラインを急遽空けて、準備を整えました。それでも、お取引関係の見直しさえ覚悟しつつリカバリーの段取り説明をしていた大塲ですが、A社様はお叱りどころか、「一緒に解決策を考えよう」という姿勢で、むしろ大塲をサポートしてくださいました。

「A社様は、関係部署の方々を集めて、対応に協力してくださいました。費用の追加請求なども一切なかったのです。ご厚意に深く感謝しつつ、〈これに甘えてはいけない、少しでもA社様にご恩を返せるような仕事をしなくてはならない〉と、心に刻み込んだ経験でした」

より複雑なご要望に応えることで、信頼を積み重ねる

やがてA社様から、ASSY(アッセンブリー:複数部品で構成されたユニット)のオーダーが来るようになりました。
「ちょうどA社様が、〈外部の協力も得て、製造過程を効率化しよう〉という取り組みに注力し始めた時期でした。そうした事情も手伝って、うまく商談を軌道に乗せられました。お客様のニーズが多様化・複雑化することは、神谷商会にとってはチャンスなのです。商社機能を生かして、さまざまな種類のご要望に応えられますから」

ユニット品のご提供時も、留意すべきポイントは数多くあります。
「どの部品がどのように使われるか、どの程度の品質や強度を求められているのかなど、さまざまな情報を得て全体像を把握することで、適切なQCD(Quality品質/Costコスト/Delivery納期)バランスを考えられるようになります」
それに基いて大塲は、VA(仕様変更や調達・製造の効率化によるコスト改善)を、A社様に積極的にご提案してきました。
「実際に採用していただいた案も、いろいろとあります。たとえば長尺の部品で、手で作業していた領域を型で作れるようにしたり、曲げ加工を行っていたものをそのまま押出形材に替えたり。A社様にとってはメリットですし、私たちとしても、ご恩返しの一環です」

「なくてはならないパートナー」を目指して

大塲はA社様との信頼関係を着実に築き、現在はアルミ部品だけでなく、半導体関連製品のキーパーツ調達を任されるに至っています。
「何か特別なことをしたという意識はなく、通常の納品でも、トラブル対応でも、とにかく目の前の課題の解決に全力で取り組んできた結果だと思います」
そして大塲は、A社様にとって神谷商会が欠かせない存在になることを目指しています。
「パートナーとしてのご信頼をかち得て、〈こういう材料や製品が欲しいのだけど〉という段階からご相談いただき、ユニットで供給するようなケースを増やしていきたいですね。それは神谷商会の商社機能と、ものづくり機能の両方を最大限に生かせるかたちだと思うのです」